そう聞いてきた藤堂に、
「そんなことか…」

陣内はため息混じりに呟いた。

「連れて行くと言ってるだろ。

連れて行かなきゃすねるだろうし」

そう言い返した陣内に、
「だからか」

藤堂が言った。

「んっ?」

「事務員と食堂のおばちゃん、そして家族連れでもいいって言う風に決めたんだなって」

「俺の勝手で、俺が決めることだ」

「はいはい」

そうやって会話をしている間に、車は家に到着した。

「ただいま」

リビングに灯りがついていた。

「ひまわり、遅くなってすまない…」

陣内はそう言うと、リビングに顔を出した。