その日の夜。

「すっかり遅くなったな」

車の中で、陣内が言った。

「陣内が悪いんだろ。

もう少しうまく行っていたら、こんな時間にならなかった」

藤堂がため息混じりに言い返した。

チラリと腕時計に視線を向けると、22時を過ぎていた。

「ひまわり、怒ってるだろうな」

陣内が呟くように言った。

「連絡しなかったし、それはもうカンカンだろうな」

そう言った藤堂に、陣内はふうっと息を吐くと窓の外に視線を向けた。

「なあ、陣内」

藤堂は声をかけた。

「ひまわりを社員旅行に連れて行くのか?」