「じゃあ、ここの代金は俺が払っておきます」

「悪いな」

陽平に背中を見せると、陣内はその場から立ち去って行った。

彼の背中を見送ると、陽平はさっきまで彼が座っていた席に視線を向けた。

陣内の目に見えたものは、寂しさだった。

「――あの人、何かあるな…」

陽平は呟くと、ふうっと息を吐いた。

陣内は何かを隠してて、何かを抱えている。

「一体あの人は何を持っているのやら…。

俺の考え過ぎかも知れないけど」

陽平はフッと笑うと、残りのアイスコーヒーをストローですすった。