翌朝の会社に向かう車の中で、藤堂は昨日のことを陣内に報告した。

「ジョーダンじゃない!」

吐き捨てるようにそう言った陣内に、藤堂はやっぱりなと心の中で呟いた。

予想通りの答えに、藤堂はどう答えていいのかわからなかった。

「どう言う用件で藤堂を呼び出したかと思えば、そんな話か!」

藤堂は黙って運転をしながら、バックミラー越しに後部座席に座っている陣内に視線を向けた。

「じいさんには困ったもんだ…」

ため息混じりに言う陣内に、
「とりあえず、会ってみたらどうだ?」

藤堂は言った。

「気に入らなかったら話をなかったことにすればいいんだ。

財閥のお嬢様の顔くらい、拝んでやったらどうだ?」