そう自分に言い聞かせても、心の中は別の意味で動揺していた。

何故か頭の中に、陣内の顔が浮かんだ。

(違うわよ、あんなヤツ!)

「彼氏ができたんですか?」

そう聞いてきた彩花に、
「――ち、違うに決まってるじゃない!」

那智は首を横に振って、彼女からの質問に答えた。

ついでに頭の中に浮かんだ陣内の顔も消した。

理想とは程遠いから、あんなヤツは絶対にありえない!

「そうですか。

じゃあ、イメチェンしたのは何でですか?」

彩花にそう聞かれて、那智は止まった。

そんなことを聞く必要があるのだろうか?