うるさいくらいに鳴っている心臓は、一体何なのだろうか?

「昼休み、俺と食事をしないか?」

そう言った陣内に、那智の心臓がドキン…と大きく跳ねた。

「――わ、私とですか…?」

そう聞き返した声が震えているのは、戸惑っているからである。

「他に誰がいるんだ?」

陣内が首を傾げて聞いてきた。

それにも、心臓がドキドキと鳴った。

顔なんてトマトのように真っ赤かも知れない。

暑さのせいにしたいところだが、寒いくらいにクーラーの効いてる社内では通用しない。

「――わ、私でよければ…」

震えた声で、那智が返事をした。