「いや、社員旅行はどこの会社にもあるよ。

ただウチのところは社長が太っ腹なだけなんだ」

「何しろ、家族も連れてきていいって言うのがすごいよな」

「社長の顔が見てみたいぜ」

ガヤガヤと、社内は騒がしかった。

「社員旅行♪」

「彩花、うるさい」

「何かドキドキします!」

「ドキドキするって言っても社員旅行よ、三浦くん」

「オー、ポカホンタス!」

「誰だ、あの女?」

誰かがそう言った瞬間、その場にいた全員の視線が階段の方に集中した。

「――な、何…?」

視線が集中されたその人物は戸惑った。