別に信じた訳ではない。

ただ、何となくイメージを変えて見ただけである。


月曜日。

突き刺さるような周りの視線を肌に感じた。

(そりゃ、そうか…)

見たことがない女が歩いているんだから視線が集中するのは当然のことである。

好奇丸出しの視線を受けるのは、自分でも何となく予感していた。

パンプスは、7センチのハイヒールに変えた。

少しだけ視界が高くなったような気がした。

地味な色のスーツは、明るい色のワンピースにした。

1つに束ねていた黒髪を、毛先だけゆるく巻いた。

眼鏡をやめて、コンタクトレンズにした。

眉と唇だけの簡単な化粧はやめて、顔全体に念入りに化粧した。

血の気がなかった顔が華やかになった。

そんな彼女の変わりように驚き半分好奇半分の視線を周りは向けてきた。

視線が向けられる中、彼女はエレベーターを利用するのをやめて階段を利用することにした。