ひまわりは楽しそうに笑いながら、いろいろな服を選んでいた。

気に入った服があったらカゴに入れて、あちこちを見て回っている。

(かわいいな…やっぱり、女の子だな)

そう思いながら彼女を見つめていたら、
「顔が笑ってるぞ」

藤堂が声をかけてきた。

「はっ?」

(俺が笑ってる?)

そのことに驚いて、陣内は自分の顔に手を当てた。

藤堂はふうっと息を吐くと、
「その顔をするって言うことは、気がつかなかったってことだな」
と、言った。

「お前、ひまわりが服を選ぶ姿を見て笑ってたぞ。

陣内が笑ってるところなんて見るの久しぶりだったから、ビックリした」

「ひまわりが楽しそうだなと思ったから」

そう言い返した陣内に、
「だろうな」

ひまわりに視線を向けると、藤堂が納得したように言った。

「――ひまわり、一体どんなところで育ってきたんだろうな」

楽しそうな彼女の様子を見ながら、藤堂がそんなことを言った。