「じゃ、行ってくる」

「行ってらっしゃい、陣内さん」

ひまわりが笑顔で見送りをした。

陣内はひまわりに手を振ると、ドアを閉めた。

「まるで新婚だな」

ドアを閉めた時、藤堂が言った。

「結婚するなんて、言ったはずはないが」

陣内が歩きだしたので、その後ろを藤堂がついてきた。

「それにしても、朝帰りなんて珍しいな。

周のお嬢様と何かあったのか？」

藤堂に聞かれたとたん、綾香の告白がよみがえった。

頭によみがえったそれを振り払うと、
「これと言った進展は特にない。

別のところで厄介になってたら朝になっただけだ」

陣内は答えた。