そう言った龍太郎に、
「私が、ですか…?」

藤堂は戸惑った。

思いがけない出来事に、藤堂はどうすればいいのかわからない。

(俺が陣内に見合いを勧める…?)

突然のことに、頭が働くことができなかった。

「私が言っても、龍平はきっと聞いてくれないだろうと思う」

「その役目を、私に…?」

「伸一郎くんなら、龍平は聞いてくれると思う」

言われた藤堂は突然の出来事に困ることしかできなかった。

誰が話しても、陣内は見合いを拒否するだろう。

「これ…」

龍太郎が藤堂に差し出したものは、1冊の本だった。