1人になりたかった。

何でもいいから、とにかく1人になりたかった。

那智は仕事の終わりにある飲み会を欠席した。

きっと彼らは今頃、彩花と南野の結婚を祝福しながら行きつけの居酒屋で飲んでいることだろう。

そう思いながら、那智はビールを流し込んだ。

冷たくて苦いビールが喉を通った。

「おじさん、ビールおかわり」

「ちょっと那智ちゃん、飲み過ぎだよ」

主人は苦笑いしながら空っぽになったビンを受け取った。

すぐに出されたビンは、もう何本目になるだろうか?