Monsoon Town

「わかんないんです。

誰かに殴られる夢を見て、それで…」

ポツリポツリと呟くように言ったひまわりを、陣内は汗でベタついている彼女の頭をなでた。

「言いたくなかったら全部言わなくてもいい。

夢の内容を思い出したくないんだろ?」

そう言った陣内に、ひまわりは目をあわせた。

「とりあえず、シャワーを浴びてこい。

今のお前は濡れねずみだぞ」

「ねずみ…?

どこにいるんですか!?」

ひまわりはキョロキョロと首を動かして、周りを見回していた。

「いないから安心しろ」

苦笑いしながら言った陣内に、ひまわりは首を傾げた。