陣内が着替えのために寝室に行っている間、藤堂は夕食を作っていた。

コトコトと、鍋は沸騰したことを告げている。

トントンと、包丁はリズミカルに野菜を切っていた。

その様子をカウンターからひまわりが見ていた。

「藤堂さん、料理ができるんですね」

ひまわりが言った。

「んっ?

…まあ、いつも作らされてるからな」

そう言った藤堂に、
「いつも作ってて嫌にならないんですか?」

ひまわりが聞いてきた。

「なれれば平気だ」

藤堂は答えると、おたまを片手に鍋のふたを開けるとかき混ぜた。

その様子を目で追っていたひまわりが、
「藤堂さんって、陣内さんの何ですか?」
と、聞いた。