「おかえりなさい、陣内さん」

疲れて帰ってきた陣内を迎えてくれたのは、ひまわりだった。

――おかえりなさい

久しぶりに、そんな言葉を言われた。

最後に言われたのはいつだっただろうかと、陣内はそんなことを思った。

「陣内さん?」

ひまわりが不思議そうに顔を覗き込んできたので、
「どうした?」

陣内は言葉を返した。

「突っ立っているから、具合が悪いのかなって」

心配そうに眉を下げたひまわりが言った。

「えっ?」

彼女に言われて、陣内はここが玄関だったと言うことに気づいた。