「何やってんの?」
いつもの柊じゃない。そう思った。
「通り過ぎただけ」
夏姫は笑ってごまかした。
「ふーん」
柊は笑っていた。笑ってる柊の顔が怖かった。夏姫も笑っていた。
「本当のこと言え」
柊は言った。
「ごめん。別に、見るつもりじゃなかったんだけど、なんてゆうか・・・・本当にごめん」
夏姫は頭を下げた。そして、そっと顔を上げて柊を見た。
柊は、何も言わずため息をついた。




そして、二人で玄関の前にあるベンチに腰を下ろした。
「モテるって、ほんとだったんだ」
夏姫は言った。
「えっ」
「華菜が言ってた。柊、モテるって。告られるのって、嬉しいんじゃないの?」
夏姫は訊いた。
「嬉しくねぇよ」
柊は言った。
「変わってんね。告られて嬉しくないなんて」
「おまえ、告られたことねぇだろ?」
柊が訊いてきた。
「あのさ、なんでそう、傷つくことゆうかなぁ」
夏姫は言った。
「ねぇーのか。まぁ、告られてもいいことばっかじゃねぇーってこと」
柊は言った。
「ふーん。よく分かんないなぁ。でも、友達ならいいんじゃないの?さっきの子も、友達になってって言ってたじゃん」
「自分をフった男と友達になっても、傷つくだけだよ。だって、友達だとしても、相手は俺に気持ちをもってるってことだろ。俺は、なんとも想ってねぇーのに。そんなの・・・重すぎんだろ」
柊の目は真剣だった。夏姫は柊の言っていることは間違ってないと思った。





これが、柊の優しさ。


相手を傷つけない。

ちゃんと相手の気持ちを考えている。



柊だから、みんな好きになるんだね。