ひたすら走り、公園まできた。
「最低だな、俺」
柊は言った。
「柊?」
そこには、未来が立っていた。
「どうしたの?」
未来は、俺の様子に気付き走ってきた。
「何でもない」
柊は答えた。
そして、近くのベンチに座った。
「なんかあったんでしょ。分かるよ。どれだけ、幼なじみやってきたと思ってんの」
未来は言った。
「逃げてきた。夏姫から逃げてきた」
柊は言った。
「夏姫ちゃんと話したの?」
「あぁ」
「そっか。私もね、夏姫ちゃんと話したよ。夏姫ちゃん、柊に避けられてるって言ってた」
未来は言った。柊は黙った。
「好きなんだね。夏姫ちゃんのこと」
「俺・・・・・」
「もういいよ。我慢しなくていいよ」
「未来・・・・?」
「どんなに私が頑張っても、柊は振り向いてくれない。私が柊を大好きなように、柊も夏姫ちゃんが大好きなんでしょ」
柊は頷いた。
「私の負けだ」
未来は立ち上がった。
「幸せになって。柊が幸せなら私も幸せだから」
未来は微笑んだ。
「未来・・・・・」
未来の気持ちは嬉しかった。




でも、俺は夏姫から逃げた





逃げた俺に、夏姫を幸せにできない





この手で、抱きしめることもできない





「無理だ。夏姫には、言えない」
柊は下を向いた。
「なんで?好きなんでしょ。だったら、ちゃんと伝えなきゃ。言わなきゃ、伝わらないよ」
未来は言った。
「無理なんだ・・・・」
柊は言った。
「見損なった。そんなんじゃ、絶対夏姫ちゃんを幸せになんてできないね」
未来はそうゆうと、帰っていった。





俺は泣いた。





こんなに泣いたのは、初めてだった。





誰かのことを想って、泣いたのは初めてだった






こんなにつらいなら、誰のことも好きになるんじゃなかった。




恋なんて、するんじゃなかった







人を好きになるのが、こんなにも切ないなんて思わなかった