それから、夏姫は柊と全く話さなくなった。

そんなある日。未来に、一緒に帰らないかと誘われた。
「一緒に帰るの初めてだよね」
未来ちゃんは言った。
「そうだね」
夏姫は答えた。
「柊のこと、気にしてるの?」
未来ちゃんの口から出た、柊の名前に夏姫は足を止めた。柊は、未来ちゃんとは普通に話している。



柊は、私だけを避けてる




「夏姫ちゃん?」
未来ちゃんは、心配そうに夏姫の顔をのぞいた。
「私、柊に何かしたかな。なんで、柊は私を避けるの?」
夏姫は、涙をこらえながら言った。
「柊のこと、嫌いになった?」
未来ちゃんの言葉が、胸に突き刺さった。夏姫は下を向いた。




嫌いになった?




未来ちゃんの言葉が、夏姫の頭の中を駆け巡っていた。





柊を好きな気持ちは、変わっていない






嫌いになんて、なれない