放課後になり、帰ろうとした時だった。
「夏姫」
名前を呼ばれ、横を見た。
「なんだ柊か」
夏姫は言った。
「なんだってなんだよ」
柊は言った。
「用件は何？」
「今から帰んの？」
柊が訊いてきた。
「帰るけど」
夏姫は答えた。本当は、華菜と一緒に帰るはずだったが、進路のことで先生に呼ばれたということで、一人で帰るはめになってしまった。
「一緒に帰ろうぜ」
柊は笑っていた。
そして、一緒に帰ることになった。夏姫はすごく気まずかった。何を話したらいいのか分からなかった。
『あのさ』
二人の声が重なった。
「あっ、柊から言っていいよ」
夏姫は言った。
「いや、おまえから言えよ」
柊も言った。
「私は、いいから。たいした話じゃないから」
「じゃ、俺から言うな」
柊は言った。
「うん」
夏姫は頷いた。
「いきなり誘って悪かったな」
「えっ・・・・」
夏姫は驚いた。
「なんか、夏姫と一緒に帰りたかったんだよな。あっ、変な意味じゃねぇよ」
柊はなんだか照れていた。夏姫は笑ってしまった。
「笑うなよ」
「ごめん、ごめん。嬉しかったよ。誘ってくれて。別に、変な意味じゃないよ」
夏姫は自分で言っていて恥ずかしくなった。すると、柊も笑った。夏姫は嬉しくなった。


そして、家まで柊に送ってもらった。
「送ってくれてありがとう」
夏姫は言った。
「また、明日な」
柊は、そうゆうと夏姫の頭に手を置いた。一瞬、夏姫はドキッとした。
そして、柊が見えなくなるまで、手を振っていた。





この気持ちは、恋なの？