その初めて会った青年を見て、不思議と恐怖や疑念という感情は沸いてこなかった。 「願い?」 「そう。いつも手を合わせて何を願っているの?」 「え?」 今、『いつも』って言わなかった? その言葉が引っ掛かったけれど、 「何も……」 そう答えていた。