私だけの王子さま



―――……
――…


「…じゃあ、また」


二人だけの時間もあっという間に終わり、私の家の前に着いた。


「うん、わざわざありがとう。気を付けて帰ってね」


私たちは、お互いに手を振った。



委員長といると、時間が過ぎるのが本当に早い。


だけど今日は、委員長の夢を知ることができた。



…私もいつか、目標を見つけて話したい。



そう思いながら、委員長の背中を見送ろうとした時だった。



委員長が、突然くるりと私の方に向き直った。



「相原に、言うの忘れてたことがあった!」


「何?」


平然を装おったけれど、実はかなりドキドキしていた。


だって、急に振り返るのは反則だと思う。



思ったより広い背中に、みとれていたところだったから。



「…また来なよ」


「え?」


「相原さえ嫌じゃなければ、またおいでよ。ボランティア。

花梨さんも、そう言ってたし、それに…」


「それに?」


「本多さん、きっとまた、相原に会いたいって思ってるはずだから」



本多さん―――…。


その名前を聞いた途端に色々な思いが込み上げてきて―――。



「うん…」


私は、無意識のうちに頷いていた。