私だけの王子さま



「ねぇ、麻智」

「んー?」


声のする方向がさっきと違うと思い、振り向いてみると、いつの間にか麻智は後ろにある自分の椅子に座っていた。


どうやら、床に座っているのに疲れたらしい。


「あのさ、委員長の家って、どこにあるか知ってる?」

「委員長の家?」


なぜ、突然こんな質問をしたのかと言うと、昨日私を送った後の委員長の行動が気になっていたから。


あの時委員長は確かに、駅とは正反対の方向に歩いて行った。


もちろん自宅がそっちにあるのなら、それで解決する。

でももし違っていたら……。

あんな遅くに、どこに行ったというのだろう。


それに麻智ならきっと、委員長がどこに住んでいるのか知っているはず。


「えっと……確か電車通学のはずだよ。ここの最寄り駅から3駅くらいの所だったと思うけど。それがどうかしたの?」


――やっぱり。
‘もしも’の方が正しかった。


私は、麻智の問いにも答えず、ただ一点を見つめていた。