私だけの王子さま



花梨さんの話の影響だろうか?


笑っている委員長を見ると、すごく切ない気持ちになる。


この笑顔の裏に、一体どのような思いを持っているというのだろう…?




「もしかして、出かけるところだった?」


なるべく平然を装いながら言う。


委員長に警戒心を持たれるのを避けたかったから。



「あーうん。
ちょっと近くのコンビニまで、夕飯を買いに…」


委員長は、私が歩いて来た方向とは違う方に目を向けている。


「夕飯、一人なの?」


私が遠慮がちに聞くと、委員長はフッと小さな笑みを浮かべて言った。


「うち、いつもそうだから」



淡々としているのに、その表情はどこか寂しそうで、見ていると胸の奥が締め付けられそうになる。



「それより、相原、何か用?
花梨さんに聞いてまで来るなんて…。
もしかして、また何かあった?」


真剣な顔で、私に問いかける。


自分のことは二の次で、私のことを心配してくれる。


どうして、そんなに優しいの……?





「委員長」


「ん?」


「聞きたいことがあるの」





――お願いだから、無理して笑わないで――…。