生きる意味

この銀次君の質問は、私には予想出来ていた。多分聞かれるだろうと…。

でも私は答える事が出来ない。こんな…。

「やっぱりイジメが原因か？」

銀次君はやっぱり気付いていた。

イジメが原因で自殺しようとした私。こんなに不甲斐無い自分が嫌になる…。

「…勿体ねぇな光。勿体なさ過ぎだぜ」

「勿体…ない？？」

やはり銀次君は解らない。バカにされるのならまだ分かる。なのに、勿体ないという言葉のチョイスの真意は私の理解の範疇を超えていた…。

「あれだけ俺に啖呵を切れたのに、何でくだらねぇイジメなんかに屈するんだよ。言われたら言い返すぐらいの気合はあるだろう光には…俺はそう思うんだけどな」

言い返す気合？？

考えた事もなかった。イジメられて当然だとはさすがに思っていなかったけど、言い返す事など考えもしなかった…。

抵抗すればさらに大きなイジメを受けるだけ。なら耐えた方がまだマシだと思っていたから…。

「弱い者イジメをする奴は確かにクズだ。けど黙ってイジメられる奴もその次ぐらいにクズなんだよ。確かに抵抗すれば反発もあるだろう…けど、黙ってても何も始まらねぇんだよ」

銀次君は、多分真剣に言っている。そしてそれは多分間違ってない…。

でも…。

「銀次君には解らないわよ…私みたいに何の取り柄もない女の気持ちなんて」

銀次君みたいに強い人には解らないわ。私の気持ちなんてね…。

「助けてくれる人なんて誰もいない。クラスのみんなが敵の状態で、抵抗何て出来る訳ないじゃない…私みたいな可愛くない女に、味方してくれる人なんてクラスには誰もいないのっ！全て自分を基準に考えないで！」