生きる意味

何で恥ずかしいかは解らないけど、何だか無性にくすぐったい感覚を私は覚えた。

「光か…良い名前だな。下で呼んで良いか?」

「うん…前田君が嫌じゃなければ良いよ」

まただ…何故か名前を呼ばれるのもくすぐったい気持ちになる。

「よしっ!じゃあ光も俺の事は銀次って呼んでくれよ。何か上の名前で呼ばれると、センコウに呼ばれているみたいで気色悪いんだ」

「うん。じゃあ銀次君って呼ばせてもらうわ」

先生の事をセンコウって呼ぶところが前田君…銀次君っぽくて、何だか笑ってしまう。

「何笑ってんだよ。変な奴だな」

銀次君は、そんな私の様子を見て、自分も笑って見せてくれる。

「何でだろうね…私もわかんない」

本当に分からないの。私が今笑っているのも、こんなに気持ちは初めてだから…。

「まぁあれだ…元気になってなによりだな」

銀次君はそう言うと、新しいタバコを取り出し、また火を着けだす。

「中学生はタバコ吸って良いのかな?」

「おっ?急に優等生ぶりやがって。何者にも俺の事を縛る事など出来ないのだ」

当然のように聞く耳を持たない銀次君は、私の忠告など完全無視を決めこみ、タバコを吸いだした。

「…それとよぉ。話をぶり返すようで何だが、何で光は死のうとしたんだ?」

銀次君は、屋上から見える夜景の方に視線を向けながらそう私に聞いてきた。