私はこの人を知っている。

綺麗な髪質をしているのに、鮮やかな金色に染めあげている髪の毛。

表情豊かで、綺麗な顔をしている男。

ケンカ騒動を毎日の様に起こし、学校の先生もお手上げ状態の超問題児。

話した事はないけど、この学校に居る生徒は誰でも知っている。

前田銀次。

私とは正反対の人。

その男がなぜか、鉄柵越しに私を見ていた。

「よう…お前はすげぇな。尊敬は出来ねぇけどよ」

前田君は、私に笑顔を向けるとそう話してきた。

すごい?わたしが…?

一体何を言ってるの?

「…帰ってよ。私の前から消えて…邪魔しないで」

私は前田君の目を見つめる事が出来ない。

この人は、私には眩し過ぎるから。闇に映える金髪もこの傲慢な態度も、私にとって全てが眩し過ぎる。

「それは俺の勝手だろ?それに俺はお前の最後を見届けてみたい」

前田君は、私の顔を見つめながらそう答える。私が視線を外しているのを少しも気にもしないで…。