生きる意味

女は私の髪の毛を掴むと、上に持ち上げ強く引っ張る。私は頭に鋭い痛みを感じ、その場に立ち上がると、髪の毛を掴んで居た女の手を力一杯掴み、精一杯睨みつけた。

「何するのよっ！放しなさいよ！」

女は腕を掴まれた痛みで、私の髪の毛を放し、そう私に言ってきた。

「…謝りなさいよ。そうしたら許してあげる」

正直私の心臓は、大きく高鳴り、かなり悲鳴を上げている。足は震えているし、手も力を入れないと足と同じ様に震えていただろう。

でもそれを顔に出さない努力を私はした。声量もこれが精いっぱい。

呟くように言う事しか私には出来ない。でも恐怖を顔に出さないように心がけながら、私は女と対峙した。

「解ったわよ！謝るから放して！」

いつもの様子とは違う私に驚いたのか、女はそう言いうと私に懇願してきた。私はその言葉を聞くと腕を放し、自分の席に再び座る。

「…謝って？」

そしてまた呟くように女に話しかける。

「ふんっ…あんた何かに謝る訳ないじゃない。ばぁか！」

女はそう言うと、周りで見ていた友達の方に足早に歩いて行った。その姿を確認したあと私は、何食わぬ顔でまた小説の続きを読みだした。

正直内容は頭に入っていないけど。

高鳴る鼓動が頭の中を真っ白にしているから。そしてそれと同時に、高揚感に満ちた今まで感じた事のない感情が私を包み込んでいた。

私は周りの視線が気になり、一度周りに視線を送ってみた。するとさっきまで蔑んで居た人たちが、私の視線を受けると視線を外し、そそくさと周りのクラスメイトに話しかけ出す。