生きる意味

「残念。私の視力は2.0で乱視じゃありません」

「うーん…じゃあ光の眼は、日頃の行いの悪さが原因でくすんでいるんだな。間違いない」

だからこんなに…こんなにこの人は格好良いんだ。

「銀次君に言われたくないわ。私はタバコも吸わないし、学校もサボらないもの」

「タバコと酒とサボりは男の甲斐性だ」

私はまだまだ子供。でも、この人が近くに居てくれたら、もっと強く生きれる。

この時私はそんな事を考えていた。







次の日の学校。

私は何時もの様に学校に来て、いつもの様に自分の席に腰をおろした。

私が教室に姿を現すと、クラスのみんなが笑みを浮かべ、私の方に視線を向ける。

もちろんこの笑みは、銀次君の様な温かい笑みではない。

明らかに蔑んだ瞳。それでいて、人を小馬鹿にした態度。

相変わらず居心地が悪いわね…。

私は彼等の好奇な視線を無視し、趣味である小説を読んで居ると、誰かが私の席の目の前に現れる。

「ねぇ光ぃ…私、今日カバン持ってくるの忘れたのぉ。だから教科書貸して?全部…」

どこの世界にカバンを偶然忘れるバカが居るのよ。それにアンタみたいなケバイ女は、化粧道具の一つも持たないで学校に来る訳ないじゃない。

私は一度女に視線を向けた後、すぐに持っていた小説に視線を向けた。こんな奴、名前すら心の中でも呼びたくない…。

「…無視?随分とナメた態度とってくれるわね」