かちのかち

男は冷静だった。

「あの2人もそう考えていたでしょう。
少尉、その不安、それが上に立つ者として持つべきものなんですよ、きっと。」


女も温度を下げた。


「そうか、そういうものなのかもな。」


「ええ。」
男はニッコリと笑ってみせた。


「指揮を取るというのもむずかしいのだな。」


「ええ。」
変わらない笑顔だった。