その中で気になったのが、猫用のおもちゃで、ネズミの形を模したぬいぐるみだ。
頭の部分と胴体のサイズが違い、ご丁寧に尻尾も付けてある。
棚の横に無造作にぶら下げてあるが、今の葉瑠に簡単に取れるものではない。
かなりの不安を感じながら、シンシの背中に乗り、近くまでジャンプしてもらう。
「は、はうはま、早めにお願いひまふ」
隣の商品に噛みつき、ぶら下がるシンシ。
急ぎたいのは葉瑠も同じだが、90度の角度で商品を手に取るのはかなりの勇気がいる。
「あ゛ーもう、なんでカジは居ないのよっ」
文句を言ったところで帰ってくるわけもない。長時間店を空けていいのか心配にもなるが、店主が店主なのだから、深く考えないことにした。



