初仕事でいきなり怒られた。

『て言うか、バイトするって言ってないし…』

思えばカジの早とちりが原因で、昨日の熱帯魚の説得をするはめになったのだ。
文句の一つも浮かんで当然だが、『明日は12時に来るにゃ』の言葉通りに出勤してしまったのは、動物好きの性なのだろうか。



「生き物と直接交渉なんてしたことないし。初っ端から難しい仕事をさせる方が間違ってるのよ。ちょっと考えてよね」

不満をカジにぶつけつつ、カウンターに置いてある大きな水槽を覗き込んだ。

現在身長160センチ。この状態ではカジの猫耳も髭も見えないし、シンシとの会話も出来ない。

少なめの水を張ってある水槽の中には一匹の緑ガメ。およそ体調20センチ。

こんな亀を見て腰を抜かしたのだ。葉瑠は昨日の自分に舌打ちした。