―――しかたない、よな?
「だいたい零さまは「そぉいっ!」
ガッ
零は取り敢えず(嫌な予感がしたのであらかじめ用意しておいた)マフィンを自称部下の顔面にたたき付ける様にして捩込んだ。
清々しいほどの全力投球だった。
「ふー…敵は去っ「てませんよ」
きらりとまるで青春に燃えて流すかのような汗を微笑して拭う零のふざけた言動はぴたりと止んだ。
半泣きで振り向いた零の視線の先に居たのは―
「一つじゃ足りません。」
ズイズイと上に開いた手の平を差し出す自身の部下と、物欲しそうにこちらを見ている聖の姿だった。
――もうやだこんな身内。
零は自身の事を棚に上げてとうとう密かにはらはらと涙を流すのだった。
