『……“媒介”』


寒夜の携帯から歪が話しだす。


『“聖霊”が人間に憑くとき、これを仲介するモノが必要だ。
極稀に、人そのものが“媒介”となることもあるが、一般にはアクセサリーの類が“媒介”の役割を果たす。
……つまり、“媒介”は“殺し屋”にとって命のようなものだ。

それを壊せば、“殺し屋”はただの人間になり下がる!』


「……だから“殺し屋”のほとんどは“媒介”をどこかに隠し持っている」


一歩、一歩。寒夜は黄泉風に近づく。


「ふ、ふざけないでください!“聖霊”が何を“媒介”に人間に憑くかなんて、“聖霊”の気まぐれなのですよ?それが分かっただなんて――」

『黄泉風 雨美、“殺し屋”『風の神』』


携帯から歪が言う。