びゅんっ、びゅんっ…。


風が刃となって寒夜を襲う。

寒夜は刀を右に、鞘を左に持ち、刀を前に突き出すようにして構える。

首筋を狙ってきた風を鞘で防ぎ、その後すぐに心臓を狙ってきた風を刀で切る。

そして側転で横に跳び、体勢を立て直す。


これが11回、繰り返された。

寒夜が自分の間合いに黄泉風を入れようと近づくと、また先程の動作の繰り返し。


これで12回。


「ふふ……そんなものだったのですか『空の心』、貴方の力は」


黄泉風の表情は勝利への確信に満ちている。


「四神がひとりでも欠けたら――」

「やっと見つけた」


黄泉風の台詞を遮って、寒夜が口を開いた。


「見つけた……?何がですか?」


疲れたように溜め息をつき、赤い目が黄泉風を見据える。


「お前の“媒介”」


“媒介”という言葉に、黄泉風は驚愕の表情を浮かべる。