ひらり、ひらり、ひらり……。 学校からの帰り道、急に舞い落ちてきた雪が由綺の鼻の頭にとまった。 「ひゃっ、冷たいっ!」 『ゆき、きれいだな……』 一人騒ぐ由綺をよそに、俺は独り言のようにつぶやく。 「うん、そうだね」 やっぱり気づいてない。 俺は『雪』がきれいだと言いたかったんじゃない。 本当は『由綺』がきれいだって言いたかったんだ。 俺の本当の気持ち、伝わってるのかな……?