年の暮れ。 由綺とはあれ以来、全く話していない。 クリスマスシーズンで賑わう恋人たちの姿が今年はやけに目に付いて煩わしかった。 居心地の悪さを感じながら、ひとり街中を歩いていると、電話が鳴った。 『もしもし』 苛立ちから、ろくに電話の相手も確認せずに出る。 「あっ、もしもし……」 信じられない。 そっと携帯電話を耳から離して、画面を見る。 [着信:井上 由綺] 確かにそう表示されていた。 『何?』 「お願い。 もう一度だけ、会えないかな?」 『俺はもう会うつもりはない』