少し早過ぎる
父と母との
別れに周りは
同情をしてきた。



だけど、ただ1人
同情をせず、

「おっちゃんと
おばちゃんが
居なくなっても
俺が守るから。

俺は同情なんかで
言わないから。」と

言ってくれた人が居た。



心弥だった。



それから、
私は心弥に
寄りかかっていた。


心弥が
苦しくなるくらいに…。



なぜ、心弥が
ここまでしてくれるのか、
なんとなく分かっていた。



私は、心弥の気持ちを
利用して
自分が楽な道を
選んできた。



心弥の気持ちには



応えられないのに…。




それでも、私には
心弥が必要だった。



心弥は私が唯一まともに
話をする人だから。



唯一支えてくれる人
だから―…。



失いたくなかった。


もう、誰も―…




失いたくなかった。




そんなことを考えてると、

ピンポーン

チャイムが鳴った。


「はい…?」


「俺、開けて?」


心弥だった。


ガチヤ


「学校は?」


「ん?行くよ。」


「じゃあなんで?
遅刻するよ?」


「行く前に海莉の顔
見ときたくて、さ。

…。雨の日は
泣いてるから。」



泣いてるのは、
私じゃない。



泣いてるのは、


空。


「ありがとう。
でも大丈夫だから。
もう時間無いよ?」


「あ、うん。
明日は来いよ?」


「行けたら、ね。」



雨が降らなければ、
外に出る。


雨が降れば、
外に出ない。


私の中にある
当たり前の決まり。


私は、心弥が
見えなくなるまで
玄関を開けて、

心弥の背中を、
曇っている空を、

見ていた。



私は、時間を潰す為に
風呂に入って、
もう1度布団に入った。