寒いんだから、早く帰ればいいのに。


 そんなにあたしにお別れが言いたいの?



「カオリ、何で会ってくれないの?」


 小さな平ちゃんの呟きが聞こえた。あれからあたしは徹底的に平ちゃんを避けている。


「自分の胸に聞きなさいよっ!」


 あたしは枕元にあったぬいぐるみをドアに投げつけた。


 ドンッ、と結構いい音がしてぬいぐるみが落ちる。