三月三十一日になった。 ようやく寒さは弱くなってきたけど、まだ朝晩は十分冷え込む。 「カオリ、平ちゃん来てるわよ」 「会いたくないって言ってんでしょ!」 あたしはドアに向かって怒鳴りつけた。 きっと今の声は平ちゃんにも届いているはずだ。 「カオリ……?」 ほら、来た。 あたしは布団を深くかぶり、無視を続けたけど、暫く経っても、ドアの外にいる気配がする。