何がもちろんよ、って言おうとしたけど言えなかった。


 平ちゃんの唇が、あたしの唇に触れていたから……。


 最初は優しく触れた後、何度も何度も唇が触れる。


 平ちゃんの唇が、何度も何度もあたしの唇を追う。


 あたしは腕を掴まれていて逃れられない。



 真っ暗な車内の中、聞こえるのはあたしの吐息だけだった。



「っぁ……たい……らちゃ……」



 どうにか手をほどいて離れると、平ちゃんが目を細めて微笑んでいる。