「あれは……ごめん。

カオリに付き合って、なんて言われたら俺も我慢できなくて……」


 平ちゃんがちょっと顔を赤らめて笑う。


「でも、ただの彼氏、彼女なんて嫌だったんだ」

 平ちゃんはそう言いながら手を伸ばすと、前に座るあたしの両手を取った。



「付き合ったり別れたりする間柄なんかじゃなくてさ、ちゃんと将来を考えた婚約者以上じゃければ嫌だったんだ」

 ごめん、と平ちゃんが頭を下げる。