今宵…甘ったるい幸福の中で

「なのにお前こんないい男振っちゃうんだもん」

そう言った洋介の横顔は寂しげに笑っていた。

ズキ…

雛の胸が痛んだ。

だってそれは…

「仕方ないか…悪いの俺だもん」

「先輩…」

「あんま一緒にいてやらなかったからな」

小さな声で彼は言った。