今宵…甘ったるい幸福の中で

「よっ」

玄関を出ると車から降りて洋介が待っていた。

彼を見た瞬間、雛の胸がきゅっと締め付ける。

洋介が雛に近づく。

「何でいるの」

雛が背の高い彼を見上げた。

「僕のお姫様が心配だから」

ふっと微笑んだ洋介。

雛はまた涙を流した。

「あ~あ。お前ひどい顔」

自分の顔を近づけて洋介は意地悪く笑った。