今日は一緒にいられるのかな……、なんて思っていたら、3時間目以降、校内から姿を消したのだった。
市川と親しくしている友人は、
「カサネなら帰ったぜ。彼女のトコにでも行ったんじゃねーの?」
だなんて辛いことを言う。
(やっぱり、彼女いるんだ……)
市川の背に額を寄せた、あの“夢”のような余韻から“現実”を突き付けられて、一気に地獄に落とされる。
所詮、霊能者と元幽霊の間柄だ。
仕方ない。
仕方ないんだ。
何度も言い聞かせて、その日の部活はサボって帰宅した。
その次の日も、懲りずに「今日は会えるかな」と期待して学校に行く。
市川に彼女がいると知っているのに、飽きもせず彼のことばかり考えている自分が情けなくて、少し笑えた。
だけど、一人の人を一途に想えることを誉めたいような、複雑な気分だ。
教室に入ってすぐ、市川の席を見た。
市川はいない。
がっかりしながら私は席に着く。
今日はギリギリの登校だったから、さっそく先生がやってきて授業が始まった。
(いつでも貸せるようにノート書いておかなきゃ──)
偽善者でも何でも良い。
私には市川みたいな人助けは出来ないけど、こういうことで市川なら助けられるかもしれない。
机の中に手を入れた時、はっとした。
なんと、昨日市川に貸したノートが入っていたのだ。
開いてみると、メモ型の付箋(ふせん)が貼られていて、
『返すの遅くなってゴメン
また次もよろしく!』
と、男子にしては整った文字のメッセージがあった。


