蜘蛛ノ糸


私は市川から大袈裟に顔を背け、ムスッと口を結んで黒板を睨んでいた。






*4*



マキとハルカと昼食を終えると、用事があると言ってこっそり図書室に来た。

昼休みの図書室には先生と、数名の生徒しかいない。


薄暗い部屋の奥の、さらに隅まで入っていく。


その区域には用途の分からない分厚い本ばかりが並んでいてホコリ臭いというオマケ付きだが、気にせず座り込んた。


そして鞄から絵本を出す。

昨日、図書館から借りてきたあの絵本を。


そっと開いて、私は目を疑った。


ストーリーは全く変わっていないけれど、キッパと妖精のやり取りが描かれたその隅に、怪我をした女の子が描かれていたのだ。


もちろん、昨日はなかった。

それだけじゃない。

その女の子は、顔と膝に怪我を負っていた。


「これって、あたし……?」


気になって次のページをめくると、男の子の姿をした魄が、女の子──たぶん私かもしれない──を見下ろしている。


次をめくると、女の子は両手を顔に当てて泣いる絵があり、また次のページでは、女の子は左に向かって走っている絵が。

そのまた次のページでは、ページの端で開かない扉を叩くポーズをしている。

魄は、そんな女の子をただ見つめている。


(まるで、この本に閉じ込められているみたい……)


これが私だというなら、この先、どうなってしまうんだろう?