僕が好きな曲。




――それは彼女が好きな曲。





一年の頃に隣の席だったから、彼女がよく鼻唄で歌っているのを聞いていたんだ。




…そんなの恥ずかしくて言えるわけないじゃん。





(雫ちゃんのために練習してました、なんて。)






「雫ちゃん、ここおいで。ぎゅーしたい。」



「ここって…そこ!?」




僕が言った場所は俺の足と足の間の隙間。



皆は僕のこと可愛いって言うけど、それ以上に可愛いのは雫ちゃんだから。




遠慮する雫ちゃんを無視して、無理やり座らせた。