「と、とにかく帰る?授業終わっちゃったし俺、送ってくから。」



「え、悪いよ!」



「いーの。目の前で倒れたやつなんか放っておけないじゃん?」



「―――っ!」




もう泣きたい…


これが晴紀くんだって分かってるけど…嬉しい。





私は真っ赤であろう顔を向けて笑顔で頷いた。




そしたら。




「……」



「晴紀、くん?」



「……なんだこれ…」



「え?」



「…いや、鞄取ってくるな!」




――走り去って行くときに微かに赤い耳が見えた気がした。