「似合ってるわよ」
「本当?」
新しい制服を着て、新しい靴を履いて
学校へ向かおうとする私。
「いってきまーっす!!」
「あんたドジなんだから気よ付けなさいね」






母親に見送られ、家を出た私は
猛ダッシュで、近所の坂道を駆け上がる
「まにあわないかも~っ。まぁいいや。ゆっくりいけば…」





一瞬、気を緩めてしまった拍子に
石につまずいてしまい…
「ふぇッ!!?」
ゴロンッ








いやっ!!落ちるっ!!と思ったその時だった
ドサァッ!
「う…。あ・・あれっ?痛く・・ない??」






下を向いていた私は、パッと顔をあげ、後ろに振り向いた
そこには、一人の高校生くらいの男子。





そう。これが乙希との出会いだった。
茶髪がかった綺麗な髪が、サァ…と風で揺れる。
「・・・。きれー。」
あまりの綺麗さに、声がでてしまった。





「見とれてる場合じゃないでしょ?怪我ないの?」
いきなりかけられた言葉にびっくりする私。
「え!あ、大丈夫ですっ!!すいません。」





すくっと立ち上がり、頭を下げた私は、また必死で
坂道を上がろうとする。
けれど、なかなか上がれない。
「ぷっ…。あははっ!!」