夏、僕らは変わります。

そしてそれと同時に、僕の中には気付きたくなかった。という思いもある。

そうすれば僕はまた小学生の頃のように、素直に母の言うとおりにできただろう。


『キーン コーン カーン コーン』

僕がそんなことを考えているうちに、時計の針は淡々と進み、調度チャイムが鳴り始めた。
「んじゃ、またあとでな」
ハと我にかえると斎藤は屈託のない笑顔で俺に手を振っていた。

あぁ、そうか今日は部活か。

「んー」

行きたくない。サボってしまおうか。
そんな思いもあるものの、自分は部長だ。行かない訳にはいかない。

僕は1度目線を下げ、1つため息をつくと、急いで教室へ向かった。