夏の名前




もう、曲を聴くことはできない。



でも、ずっと覚えてる。



イントロが、頭に流れ出す。




♪いつか見たあの場所へ行こう…


君とみたこの街の景色は
忘れられるはずないでしょう
これからずっといるんだから
あなたとわたしの

“楽園”

だから…








ニノの歌声が響く。

その瞬間、俺はスニーカーを持って立ち上がっていた。




―いつか見たあの場所へ行こう。



窮屈なスニーカーをなんとか履いて、



俺は、家を飛び出した。